孤独死を考える
お盆が近くなるとお納骨の問い合わせがいつもより多くなり、縁故者不明のお遺骨のご相談を受けることもあります。
今日は近親者がいない方がお亡くなりになった場合の、葬送や納骨に関わる手続きや金銭面のことについて、私なりの考えを綴らせていただきます。
縁故者がなく、お一人でお亡くなりになられた場合、自治体が喪主となり葬送を行うことがほとんどですが、稀に旧知の方が葬送をされる場合があります。
その場合、金銭面での負担もあり、またトラブルにつながるケースもありますので注意が必要です。
火葬をする際、必ず誰かが申請人になりますが、自治体以外の方が、申請人となる場合、後で近親者が出てくる可能性が本当にないのか、それによってトラブルになることがないか、十分に注意する必要があります。
また、善意から葬送を行い、自治体等の合同墓に合葬してあげればよいと安易に考えることも問題があります。
自治体の合同墓は、基本的に改葬に応じている場合が多く、火葬したばかりの遺骨は納骨できないことがあります。
また、遺骨は合葬してしまえば、後から取り出すことができないため、本当に近親者がいないかを確認しなければならず、戸籍謄本から近親者を辿り地道に探すか、一度、一時預かりをしてくれる寺院などに預骨し、無縁墳墓等改葬広告を官報に掲載してもらい、一年間を経た後でなければ改葬することができません。
金銭面では、自治体から若干の給付金が出る場合があります。
このような給付金があるにせよ、その金額はごくわずかで、葬送執行者の負担金額を補うことは到底できません。
近親者を探すために、火葬までの時間を伸ばせば伸ばすほど、ご遺体の維持処理にお金がかかりますし、探さずに火葬すればトラブルになることも考えられます。
火葬後に近親者を探す場合、上記の通りの手段がありますが、官報に掲載する場合、凡そ6~7万円ほどの掲載料がかかりますし、寺院への一年の掲示も必要となるため、寺院側もそれなりの冥加金(手数料)をいただくことが考えられます。
つまり、近親者不明の方の葬送を自治体以外の方が執り行うことは、たとえ善意であっても、相当な覚悟が必要であるということです。
何とも世知辛いとしかいいようがありません。
お寺としては、ルールの中で出来る限り協力することはできますが、行政自体が現行のシステムを見直すか、給付金を増やす等の対策をする必要があると思います。